セミナー概要
セミナーのテーマ
- 相分離生物学の基礎と応用
- タンパク質の液-液相分離(LLPS)と細胞内現象の関係
- 創薬におけるLLPSの可能性とAIによる構造解析
こんな方におすすめです
- タンパク質に関する研究開発に携わっている方
- 創薬分野における新しいアプローチに関心のある方
- 相分離生物学の基礎知識を深めたい方
セミナータイトル | 相分離生物学入門:<タンパク質の課題に、新しい視点と解決へのヒント> |
開催日時 | 【オンライン配信】 【アーカイブ配信】 【オンライン配信】 |
開催場所 | オンライン 【オンライン配信】 |
受講料 | 49,500円 各種割引特典あり。詳しくは主催会社のサイトをご参照ください。 |
主催 | サイエンス&テクノロジー |
備考 | ■配布資料 オンライン配信受講:製本テキスト(開催日の4、5日前に発送予定) ※開催まで4営業日~前日にお申込みの場合、セミナー資料の到着が、 開講日に間に合わない可能性がありますこと、ご了承下さい。 ※Zoom上ではスライド資料は表示されますので、セミナー視聴には差し支えございません。 アーカイブ配信受講:製本テキスト(開催日を目安に発送) |
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アーカイブ配信に申し込む相分離生物学入門:<タンパク質の課題に、新しい視点と解決へのヒント>
~創薬事例:分子薬やアミロイドとLLPSの関係~
これまでどおりに考えても解決しないタンパク質に関する課題に、
新しい視点をどのように取り組むと解決に近づくか
>>タンパク質や低分子のLLPSの基本的な事項
>>細胞内に生じている多くの生命現象が液-液相分離(LLPS)と関連している
>>細胞内の現象の代表例として、酵素と代謝の関係を説明し、
酵素の活性化や安定化の技術としてどう活用できるかを紹介
■相分離生物学とは
■タンパク質の液-液相分離
■細胞内にある液-液相分離(LLPS)の例
■代謝と酵素の関係
■技術としての酵素活性化
■液-液相分離と酵素活性化
■創薬へのアプローチ
■アルツハイマーの抗体薬はなぜ開発できないのか
■低分子とタンパク質による溶液状態
■構造生物学から相分離生物学へ
講師
筑波大学 数理物質系 教授 博士(理学) 白木 賢太郎 先生
[専門/主な業務]
タンパク質溶液学(安定化・凝集・共凝集・液-液相分離・凝集抑制・粘性制御)
【講師紹介】https://www.science-t.com/lecturer/30784.html
著書:『相分離生物学』(東京化学同人)2019年8月
セミナー趣旨、ポイント
相分離生物学と呼べる新しい見方が生命科学の分野に広がっています。この講義では、液-液相分離(LLPS)の考え方について、この分野の誕生の経緯から、最近のトピック、原理、試験管内での応用例を広く紹介します。
まず、タンパク質や低分子のLLPSの基本的な事項を紹介します。さらに、細胞内に生じている多くの生命現象がLLPSと関連していることを説明します。細胞内の現象の代表例として、酵素と代謝の関係を説明し、酵素の活性化や安定化の技術としてどう活用できるかを紹介します。
創薬との例として、低分子薬やアミロイドとLLPSの関係について説明します。最後に、相分離生物学が誕生した経緯、および、現在タンパク質分野に変革をもたらしているAIによる構造解析の、2つの生命科学のパラダイムシフトについて情報共有します。
◆講習会のねらい◆
相分離生物学について興味があり、まとめて話を聞いてみたい方の参考になるよう、基本的な事項から最近のトピックまでお話しします。教科書『相分離生物学』や、専門書『相分離生物学の全貌』で紹介されている内容だけでなく、その後に登場してきた具体的な応用例なども情報共有します。これまでどおりに考えても解決しないタンパク質に関する課題に、新しい視点をどのように取り組むと解決に近づくか、参考になればと思います。
プログラム
■相分離生物学とは
・細胞内にあるオルガネラと非膜オルガネラ
・膜のないオルガネラから名前のないオルガネラへ
・生体濃縮体(相分離液滴)の多様な機能
■タンパク質の液-液相分離
・タンパク質の液-液相分離の再現実験
・相分離液滴への低分子の効果
・相分離液滴から凝集体への成熟
・高分子の液-液相分離
・天然変性タンパク質の相分離に関する総説
・相図の見方
・2つのタイプの液-液相分離
・試験管内と細胞内の液-液相分離の特徴
・タンパク質の液滴・ゲル・凝集体
・低分子とポリアミノ酸による液-液相分離
・細胞内の相分離
■細胞内にあるLLPSの例
・スーパーエンハンサー
・ヘテロクロマチン
・ヘキサンジオールの特徴
・ヒストンH1に関する議論
・染色体は溶けているのか?
・cGASが関連する自然免疫の応答
・翻訳阻害のモデル研究
・抗がん剤の核内への溶け方
・リン酸化と脱リン酸化
・翻訳後修飾による相分離制御モデル
・生体膜表面での相分離モデル
・新型コロナウイルスと相分離
・オルガネラと非膜オルガネラの協働
・RubisCOと炭酸固定
■代謝と酵素の関係
・代謝マップ
・なぜ反応が混線しないのか?
・酵素の連続反応はどのように生じるのか?
・メタボロン仮説
・再注目されるメタボロン
■技術としての酵素活性化
・酵素の実験系を再考する
・ホフマイスター系列
・コスモトロープによる酵素のkcatの増強
・酵素の立体構造と活性化
・低分子のアミン化合物による活性化
・高分子電解質による活性化
・ポリアミノ酸による乳酸脱水素酵素の安定化
■液-液相分離と酵素活性化
・液-液相分離と酵素活性化の原理
・酵素の連続反応の再現実験
・ポリリシンはATPやNADPと相分離する
・乳酸酸化酵素とポリリシンの液滴による酵素活性化
・液滴の硫安による形状の変化
・乳酸酸化酵素はクラスターで2桁も活性が増加する
・尿素によるアデニル酸キナーゼの活性化
・液滴による脱リン酸化活性のあるペプチドの活性化
・酵素の活性によって液滴の粘度が下がる
・酵素のフォールドした領域と液-液相分離
・酵素本来のあり方から考える
■創薬へのアプローチ
・相分離液滴の分子選択性
・低分子の相分離液滴への溶解予測
・乳がんのターゲットとしての液滴
・液滴への抗生物質の取り込み
・液-液相分離の歴史と核膜孔
・ヘキサンジオールの発見
・液滴フィルター
■アルツハイマーの抗体薬はなぜ開発できないのか?
・タンパク質はアミロイドになる
・仮説 / 生体内と試験管内でアミロイド形成
・液滴からアミロイドへの伸長 / αシヌクレイン
・アミロイド仮説がなぜ正しく機能しないのか
・やわらかい凝集体に毒性がある
・アルツハイマー病患者のAβ線維のクライオ電顕像
・酵母プリオンタンパク質
・相分離と凝集のトレードオフ
■低分子とタンパク質による溶液状態
・卵白の加熱凝集
・タンパク質凝集抑制剤としてのアルギニン
・液滴は低分子でも制御を受ける
・ATPはハイドロトロープ
・「溶ける」とは
・天然深共晶溶媒
・尿素とTMAO
■構造生物学から相分離生物学へ
・ミオグロビンの立体構造
・構造機能相関
・構造生物学の到達点
・アドレナリン受容体の結晶構造
・タンパク質データバンク
・天然変性タンパク質
・ヒトタンパク質の約半数は天然変性
・タンパク質ルールの崩壊
・一対一の相互作用による見方
・ローゼンらの発見
・マックナイトらの発見
・ハイマンらの発見
・RNAは相分離性もコードする
・相分離生物学の位置付け
■2024年のノーベル化学賞
・de novo designの時代へ
・蛍光を発する人工タンパク質
・20万種類を超えたタンパク質の実験構造
・AlphaFold2の登場
・AlphaFoldデータベース
・AlphaFold3と複合体の予測
・逆フォールディング問題
・40種類を超えるAIモデル
・RFdiffusion
・タンパク質を自在にデザインできる時代へ
□質疑応答□
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